NO.110 2020.8.31

亀岡夏海

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初めまして、亀岡と申します。
主にゲームやアニメの作編曲・オーケストレーションを生業としています。
文章を書くのが割と苦手なので、寛大な目でご覧いただけたら幸いです。

仕事として初めてオーケストラのアレンジをしたのは大学卒業したばかりの頃でした。
まだオケだって2-3曲しか作ったことがない、ペーペー中のペーペー。
なぜ全面的に任せていただけたのか未だに謎ですが、ご縁とは不思議なものです。
贅沢にも新日本フィルでトリフォニーホール録音、3管フル編成(しかもハープ2台)の全7曲を1日かけて録るという破格の予算をかけていたと思います。
とはいえ指揮者さんに「こんなの演奏できるかー!」とアレンジのリテイクを食らったり(笑)、慣れない現場でアタフタするしかなかったり、想像した音が想像通りに鳴らなかったりと結果は散々だったため、その後必死に勉強しました。
若気の至りというかだいぶ攻めた譜面だったのは自覚していますが、あの時の勢いや、アイデアだけで押す譜面は今となっては懐かしいです。

時は経ちまして今年2020年、コロナ禍の影響で普段の座組が崩れる年になりました。
4月5月の完全自粛を経てもなお、コンサートやライブは延期もしくは中止、イベントはオンラインに切り替わり、アニメも放送延期という未曾有の事態が起こりました。

そんな中、前向きな変化もあります。
私にとっては初の、リモートによる海外オーケストラレコーディングです。
(オケとコーラスはチェコで、打楽器とミックスはアメリカで行われました)
現地の空気や湿気、日本とは異なるソルフェージュ力やグルーブ感、積み上げていく演奏の練度、奏者やスタッフと一緒に作り上げていく達成感を肌で感じるため、全てをひっくるめて現地入りする意味は多々ありますが、渡航してディレクションするわけにはいかなかったので、日本のスタジオや自宅とつないでの収録でした。
時差のため24時スタートは体力的にかなり堪えましたが・・・
反省点含めてとても有意義な経験となりました。

今はまだ、収束も見通しが立たず制限もたくさんあり、先が見えないトンネルにいるみたいに感じます。
でも変化に戸惑うばかりではなく、臨機応変に変わっていく現場を楽しみながら精進したいと思います。


◎亀岡夏海(かめおかなつみ) Profile
東京藝術大学音楽学部作曲学科卒業。
在学中よりゲームや出版のアレンジ仕事を開始し、現在はオーケストレーションを主に、アニメ・映画などの劇伴、ゲーム、コンサートなど多岐に渡り活躍中。
数多くのレコーディング経験と絶対音感を活かした多面的で奥行きのある世界観、特にオーケストラの作風を得意とする。
近年の代表作はアニメ「艦隊これくしょん -艦これ-」、劇場版「艦これ」、 アニメ「イナズマイレブン」「イナズマイレブンGO」シリーズの作編曲など。

ゲーム音楽のサウンドトラックにて、ケルン放送管弦楽団(ドイツ)、ブルガリア交響楽団(ブルガリア)、エミネンス交響楽団(オーストラリア)、ロンドン・フィルハーモニー管弦楽団(イギリス)、チェコ・ナショナル交響楽団(チェコ)で海外レコーディングを行うほか、国内では、NHK交響楽団、東京フィルハーモニー交響楽団、東京交響楽団、読売日本交響楽団、新日本フィルハーモニー交響楽団、神奈川フィルハーモニー管弦楽団、東京シティ・フィルハーモニック管弦楽団、大阪交響楽団、日本センチュリー交響楽団、名古屋フィルハーモニー交響楽団、他とアレンジャーとして共演を果たす。

オフィシャルWebサイト
http://kameokanatsumi.com


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