No.127
加藤みちあき
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最近、一緒に音楽してきた仲間がどんどん旅立って行きます。
そして、今迄あまりする事の無かった、過去を振り返るという事をしてみたりもしています。
その中で、作編曲家としての自分がどの様な要素で成り立って来たのか?を考えてみると、その時々の衝撃を受けた音楽や、人との出会いの影響が大きかった様に思います。
少し前に、SNSで「私を構成する〇〇枚」という自分が影響を受けたアルバムを挙げてみる、というものが流行りましたが、それには完全に乗り遅れてしまっていたので、ここで「(作曲家としての)私を構成する5枚」をやってみたいと思います。

1)007/サンダーボール作戦/ジョン・バリー
初めて聴いたのは小学生の時。自分の生活圏に存在しないゴージャスなサウンドに魅了されました。ビートルズと同じ位の衝撃を受けました。未だに、スパイものの音楽の雛形になっているのも凄いです。
間違いなく自分の映像音楽の基礎になっていると思います。

2)SUNSHOWER/大貫妙子
このアルバムは全編、坂本教授のアレンジです。イントロ、間奏の作り方、ストリングスアレンジ、細部に渡って影響を受けました。特に「振子の山羊」のイントロは耳コピしました。歌ものポップスのアレンジャーになりたいと思ったのはこのアルバムがきっかけです。

3)高雅にして感傷的なワルツ/モーリス・ラベル/ブーレーズ指揮
多分、最初に聞いたのはブーレーズ指揮じゃなかったと思うのですが、ブーレーズの何かシャキッとした感じが好きです。
これを聴いていた頃は、今まで好きだったもの(ジャズとかロック的なものとか)に興味が無くなっていた時期でした。
ある時にはただ美しいサウンドに身を委ね、ある時にはスコアを見ながら、何度も聴いた記憶があります。

4)Christmas Portrait/カーペンターズ
クリスマスものの中で1番好きなアルバム。クリスマスになると必ず聴きたくなります。(クリスマスじゃ無くても)
このアルバムはクラシック、ジャズ等のあらゆる要素が、フュージョンとか融合とかコラボなんていう表現では表せない程ひとつになっています。
このアルバムを聴くと、ガーシュインもマンシーニもTOTOも繋がっているのが分かります。正にアメリカの良心。

5)Violin Phase/スティーヴ・ライヒ
1967年の作品(元はPiano Phase)だけれど自分が聴いたのは80年代だったか?
今までの音楽の聴き方を変えさせられるような感覚になり、続けて10回以上聴いた記憶があります。
それ以来ライヒにのめり込み、今でも新作は追い続けています。

オマケ)バイオリン協奏曲/アルバン・ベルク/アイザック・スターンVn/バーンスタイン指揮
技法的なことより、圧倒的な儚なさと美しさに魅了されました。この世で一番好きな曲かもしれません。

やはり、5枚なんて選び切れませんでした。違う日に考えたら、全く違う内容になるでしょう。今日のところはこういう感じです。

原稿も書かせて頂いた上に、9月15日開催のJCAAコンサートには、尊敬する作曲家ピアニストの窪田ミナさんとのユニットCafé Existenciaで出演します。 文房堂ギャラリーにて13:00開演です。 そちらもよろしくお願いします。


◎加藤みちあき(かとうみちあき) Profile
早稲田大学教育学部卒業
モダンジャズ研究会に所属し、在学中にコロムビア/ベターデイズレーベルよりアルバムリリース。調子に乗って音楽を生業にしようと決意。
稀有のヴォーカリスト、おおたか静流とのユニットdidoでデビューし2枚のアルバムをリリース。
その後、アレンジャー、映像音楽等の活動に携わる。
特にCMでは2000曲以上を作曲。
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