NO.97 2018.3.7

   萩森英明 Hideaki Haginomori 

 


萩森英明と申します。
編曲の仕事、特にオーケストラなどのスコアを書く仕事を中心に活動をしております。

東京のごく平凡な家庭で育ちましたが、
父が趣味でヴァイオリン、母もピアノを弾いていたので、音楽は身近にありました。
子供の頃、母の弾くピアノの下に潜って遊んでいたのを懐かしく思い出します。

作曲をしてみようと思ったのは、中学二年生の時でした。所謂、中二病でしょうか(笑)。
当時(1995年)はCDがとても売れ、J-Popが華やかだった時代です。
J-Popのような曲を作ってピアノの先生に聴いてもらったりしていましたが、
そのうち、クラシカルな曲も作ってみるようになり、
ピアノの先生に「作曲の勉強してみたら」と勧められ、中学三年の初秋、作曲の先生のお宅を訪ねました。

駅からバスで先生のお宅に向かう時の緊張は今でも覚えています。
お宅についたら、まずピアノの演奏を聴いて頂き、その後しばらくお話。
将来どういうことをやりたいの、と尋ねられ、
「テレビやラジオのBGMなどを作れたら…」などとたどたどしく答えることが精いっぱいの私に、
先生は一言、食べて行く気はあるの?とおっしゃいました。
とにかく今から一生懸命勉強しなさい、向いていないと思ったらすぐやめなさい、と。

その日からひたすら譜面を書く毎日が始まりました。そして沢山の人の支えのおかげで今でも譜面を書き続けることが出来ています。
しかも、初めはただ記号としての音符を書くだけの毎日でしたが、
今はそれを一流のオーケストラ、演奏家の皆さまが生きた音にしてくださるのです。
何と幸せなことでしょうか。
自分の書いた譜面が音になる瞬間の喜びは、何ものにも代えられません。

しかしながら、譜面を書くのは孤独な作業です。
私は無音が苦手で、何か音を流しながら作業をすることが多いのですが、
さすがに音楽は邪魔になってしまいますから、YouTubeなどで誰かの話などを意味もなく聞き流しています。
昨日は、AI時代の幸せな生き方とは、そんな討論番組を耳にしました。
私が普段やっている仕事はAIによって代替できるのでしょうか。

例えば…
先日、有名な童謡「シャボン玉」の編曲をしていました。メロディー楽器はオーボエ。まず調を決めねばなりません。
歌の譜面は「D」でしたが、これでは低すぎます。オーボエの音域から考えると「G」か「A」あたりでしょうか…
伴奏はストリングスです。シャープ1つの方が素朴でいいかな、と「G」にすることにしました。

きっとAIでもそのようなことは考えてくれるでしょう。
さらに、ここはストリングスの白玉で伴奏を書いてね、次は8分音符の刻みにしてね、
ハーモニーは少しおしゃれにしてもいいよ、最後は8小節くらいで静かな後奏をつけてね、
などと注文してあげればその通りに作ってくれるでしょう。
そして、そのうち「注文」も私よりAIの方がうまくやってくれるようになるかもしれません。

そうなった時に私が譜面を書く意味はあるでしょうか…
その時になってみないと分かりませんが、きっとAIは譜面が音になった時の「喜び」までは感じないのではないか、 でも私はそれに喜びを感じるのだから、譜面を書く意味はある、
と今は漠然とそう思っています。

◆ Hideaki Haginomori's Profile ◆

 

                                      

 

                                                         

 

                      

PAGEのTOP へ!