NO.122002年以前に公開された記事です。
みなさん、こんにちは。松尾早人と申します。今月の作家、という事でお話を頂きノコノコ出てまいりました。私、すでに36歳という立派な中年の域に達しており、先輩方には遠く及びませんが音楽シーンの移り変わりを目の当たりにして来ました。音楽に限りませんが、最近はとても変遷が激しいですね。昔はコンピューターさえなかったのに今では音楽とコンピューターは切っても切れない関係になっています。スタジオには所狭しとシンセやサンプラーが持ち込まれ、これぞ最先端と思っていたのもつかの間、今やオーディオファイルをハードディスクに入れて持っていくだけになっています。この調子で行くと数十年後にはどうなっているのか見当も付きませんね。
おっと、まずは自己紹介をしなくては。
えーと、松尾早人と申します。あ、さっき言いましたかね。アニメやドラマのBGMやゲームの曲等を書いております。・・・これだけだとちょっと寂しいので昔を振り返ってみますね。
うちの母親がピアノとエレクトーンの先生をやっていた事もあって、小さい頃からエレクトーンとは付き合いがありました。小学生になってからはヤマハのJOCなどもやっており、その頃から作曲を始めました。その頃はELPやリック・ウェイクマンなどプログレと呼ばれるジャンルにはまっていてELPの「タルカス」を3ヶ月くらいかかってコピーしたりしましたね。中学の頃にはYMOが全盛で例外なくはまっておりました。高校の頃は洋楽ポップス等を聞いていましたが、進路を考える段階で「やはり作曲をやりたい」と思うようになって東京芸大作曲科に入ることになりました。ここでコンピューターと音楽の融合を目の当たりにする事になります。と書くと格好いいのですが、早い話がコンピューターで動くシーケンサーを体験した訳です。それまでシーケンサーと言えば専用筐体で狭い液晶などでやっていましたからコンピューターの広い画面で視覚的にも捉えられるシステムはカルチャーショックでもありました。
その後すぐに自分でもコンピューターを買い打ち込みに励むようになりました。在学中よりアレンジやゲームの曲を書いたりするようになり、ちょうどその頃すぎやま先生にお会いしました。それからは先生のお手伝いをしたり仕事を紹介して頂いたりして色々な事を勉強させて頂きました。
今では劇伴から歌までいろいろやっていますが、オーケストラをメインとしたものが多いですね。もちろん「打ち込み」も。
言うまでもないことですが、この「打ち込み(MIDI & Audio)」はDTMという波になって今や世の中を席巻しつつあります。そのおかげで誰でも音楽を手軽に楽しめ裾野をを広げたのは間違いのない事でありとても評価出来る事です。私も打ち込みなくしては仕事も趣味も成り立たないと言っても過言ではないでしょう。さて、このページを見ている方の中にもこれからもしくは既にMIDIやAudioによる打ち込みをなさって居る方も多いと思いますので、最近私が感じた事をいくつか書いてみたいと思います。
シンセの打ち込みでは生の楽器では不可能なフレーズも演奏出来ます。そういった点では、出来ないことは何もない訳です。そしてそれこそが打ち込みの特徴でありウリであると思っている方が多いように見受けられますが、本当にそうでしょうか。同じシンセのストリングスの音色を使っていてもストリングスっぽく聞こえる時とそうでない時があるというのは誰もが経験している事だと思います。これは音色が同じでもフレーズがストリングスっぽくなければそうは聞こえないという事になるわけです。
シンセの音は多岐に渡っており自然界にない音も沢山ありますが、実際に使う多くの音色は生の楽器の代わりというのが殆どです。その音色を使って実際には演奏できないフレーズや音域を使っても、その楽器らしさは出て来ない訳です。それが新しいと思う方もいらっしゃるかと思いますが、例えばホルンでとんでもなく高い音域で超絶技巧をやっても、もはやホルンには聞こえずに、そこでホルンの音色を使う意味はなくなってしまいます。それをやるなら他の楽器の方がより効果的という事であり、それは新しいという事にはなりません。
ですから、これから打ち込みをやる方、すでにやってる方にはその楽器に合った奏法や音域を勉強し、それを考え出して打ち込みしてみることをお薦めします。そうすることによって楽器音やそのフレーズはより効果的に響き、最終的には曲そのものが効果的に鳴るようになるわけです。つまり楽器による制約というのは制限ではなく、良い音楽を作るためのヒントなのではないでしょうか。
それらを理解しその上で打ち込みの特徴を活かせれば、その時はきっと新しい音楽への道も開かれるように思います。
何だか説教臭くなってしまいましたが(笑)、要は打ち込みで行き詰まったら打ち込みだけでなく生の楽器にも目を向けてみると何かヒントがあるかも知れないですよ、という事ですね。温故知新というやつでしょうか。
****代表作品****
アニメ
「魔法騎士レイアース」
「怪盗セイント・テール」
「黄金勇者ゴルドラン」
「青山剛昌短編集1,2」
「ホーンテッド・ジャンクション」
「サーフサイド・ハイスクール」
「ファーブル先生は名探偵」
「ストリート・ファイター」
「クッパの大冒険」
「スピリット・オブ・ワンダー」
ドラマ
「先生、知らないの?」
ゲーム
「マスターオブモンスター」
「サイバリオン」
「クラシックロード1,2」
「オウガバトル」
「Let's Smash」
「ドラゴンフォース2」
「フロントミッション3」 など
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松尾早人
みなさん、こんにちは。松尾早人と申します。今月の作家、という事でお話を頂きノコノコ出てまいりました。私、すでに36歳という立派な中年の域に達しており、先輩方には遠く及びませんが音楽シーンの移り変わりを目の当たりにして来ました。音楽に限りませんが、最近はとても変遷が激しいですね。昔はコンピューターさえなかったのに今では音楽とコンピューターは切っても切れない関係になっています。スタジオには所狭しとシンセやサンプラーが持ち込まれ、これぞ最先端と思っていたのもつかの間、今やオーディオファイルをハードディスクに入れて持っていくだけになっています。この調子で行くと数十年後にはどうなっているのか見当も付きませんね。
おっと、まずは自己紹介をしなくては。
えーと、松尾早人と申します。あ、さっき言いましたかね。アニメやドラマのBGMやゲームの曲等を書いております。・・・これだけだとちょっと寂しいので昔を振り返ってみますね。
うちの母親がピアノとエレクトーンの先生をやっていた事もあって、小さい頃からエレクトーンとは付き合いがありました。小学生になってからはヤマハのJOCなどもやっており、その頃から作曲を始めました。その頃はELPやリック・ウェイクマンなどプログレと呼ばれるジャンルにはまっていてELPの「タルカス」を3ヶ月くらいかかってコピーしたりしましたね。中学の頃にはYMOが全盛で例外なくはまっておりました。高校の頃は洋楽ポップス等を聞いていましたが、進路を考える段階で「やはり作曲をやりたい」と思うようになって東京芸大作曲科に入ることになりました。ここでコンピューターと音楽の融合を目の当たりにする事になります。と書くと格好いいのですが、早い話がコンピューターで動くシーケンサーを体験した訳です。それまでシーケンサーと言えば専用筐体で狭い液晶などでやっていましたからコンピューターの広い画面で視覚的にも捉えられるシステムはカルチャーショックでもありました。
その後すぐに自分でもコンピューターを買い打ち込みに励むようになりました。在学中よりアレンジやゲームの曲を書いたりするようになり、ちょうどその頃すぎやま先生にお会いしました。それからは先生のお手伝いをしたり仕事を紹介して頂いたりして色々な事を勉強させて頂きました。
今では劇伴から歌までいろいろやっていますが、オーケストラをメインとしたものが多いですね。もちろん「打ち込み」も。
言うまでもないことですが、この「打ち込み(MIDI & Audio)」はDTMという波になって今や世の中を席巻しつつあります。そのおかげで誰でも音楽を手軽に楽しめ裾野をを広げたのは間違いのない事でありとても評価出来る事です。私も打ち込みなくしては仕事も趣味も成り立たないと言っても過言ではないでしょう。さて、このページを見ている方の中にもこれからもしくは既にMIDIやAudioによる打ち込みをなさって居る方も多いと思いますので、最近私が感じた事をいくつか書いてみたいと思います。
シンセの打ち込みでは生の楽器では不可能なフレーズも演奏出来ます。そういった点では、出来ないことは何もない訳です。そしてそれこそが打ち込みの特徴でありウリであると思っている方が多いように見受けられますが、本当にそうでしょうか。同じシンセのストリングスの音色を使っていてもストリングスっぽく聞こえる時とそうでない時があるというのは誰もが経験している事だと思います。これは音色が同じでもフレーズがストリングスっぽくなければそうは聞こえないという事になるわけです。
シンセの音は多岐に渡っており自然界にない音も沢山ありますが、実際に使う多くの音色は生の楽器の代わりというのが殆どです。その音色を使って実際には演奏できないフレーズや音域を使っても、その楽器らしさは出て来ない訳です。それが新しいと思う方もいらっしゃるかと思いますが、例えばホルンでとんでもなく高い音域で超絶技巧をやっても、もはやホルンには聞こえずに、そこでホルンの音色を使う意味はなくなってしまいます。それをやるなら他の楽器の方がより効果的という事であり、それは新しいという事にはなりません。
ですから、これから打ち込みをやる方、すでにやってる方にはその楽器に合った奏法や音域を勉強し、それを考え出して打ち込みしてみることをお薦めします。そうすることによって楽器音やそのフレーズはより効果的に響き、最終的には曲そのものが効果的に鳴るようになるわけです。つまり楽器による制約というのは制限ではなく、良い音楽を作るためのヒントなのではないでしょうか。
それらを理解しその上で打ち込みの特徴を活かせれば、その時はきっと新しい音楽への道も開かれるように思います。
何だか説教臭くなってしまいましたが(笑)、要は打ち込みで行き詰まったら打ち込みだけでなく生の楽器にも目を向けてみると何かヒントがあるかも知れないですよ、という事ですね。温故知新というやつでしょうか。
****代表作品****
アニメ
「魔法騎士レイアース」
「怪盗セイント・テール」
「黄金勇者ゴルドラン」
「青山剛昌短編集1,2」
「ホーンテッド・ジャンクション」
「サーフサイド・ハイスクール」
「ファーブル先生は名探偵」
「ストリート・ファイター」
「クッパの大冒険」
「スピリット・オブ・ワンダー」
ドラマ
「先生、知らないの?」
ゲーム
「マスターオブモンスター」
「サイバリオン」
「クラシックロード1,2」
「オウガバトル」
「Let's Smash」
「ドラゴンフォース2」
「フロントミッション3」 など