NO.25
大島ミチル
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 作曲家の生活ってどんなものなのでしょうか?とたまに聞かれる事があります。もちろん人によっても違うので、「私は」と言う形でしか言えないのですが、やはり共通して言えるのは「締めきりに追われて仕事している」と言う事でしょう。ともかく作曲家の仕事の一番は体力、二番も体力・・・どんな仕事も身体が資本とは言え、何日も徹夜は当たり前、肩こりはひどいし目は疲れる・・・ともかく身体が丈夫じゃなければ不可能である事は間違いないです。さて、私の毎日はゴミ出しから始ります。何しろ1年前に一軒家に移ってからと言うもののゴミ出し規則を守る事は近所付き合いの一つでもありますから、週に4日まず朝7時半に起きてゴミを出します。その後は仕事を抱えている状況にもよりますが、そのまま机に向かって午前中にすでに作曲をする事も最近ではかなり増えました。そして支度をして午後一からの打ち合わせや録音に出かけます。多い日で3本の打ち合わせ、もしくは4〜5時間の録音をこなします。映画の打ち合わせの場合は監督やプロデューサー、音楽プロデューサーなどと台本上で、もしくは映像を2時間以上見た後に細かく音楽の方向性や内容の話しをします。ここ数年は監督やプロデューサーなども既に仕事でご一緒した事がある人が殆どですから自分の考えや言葉で話せる様になりましたが、最初の頃はともかく上手く打ち合わせが出来るだろうか?監督はどんな人だろうか?などとドキドキしながら時間を過ごしたものです。短い打ち合わせでも2時間、長いと半日を要しますので家に帰った時はぐったりと疲れてしまいます。録音の場合は更に体力勝負です!多い時で6時間で50曲を録音しますし、編成もオーケストラ編成からリズム編成、室内楽など様々ですし、自分で指揮までしながら細かい譜面の直し、演奏の指事、タイム合わせ、監督の意見を聞いて調整したり・・・本当にやる事が沢山あって終わると身体中が痛くなってしまいます。とくに肩こりには年中悩まされっぱなし、マッサージに通うと少し身体が楽になるものの、こっていると言うのを越えて痛い!と言う方が正しい表現かもしれません。以前通っていた治療院では、「自律神経から来る痛みとも考えられます。」と言われたのですが、精神的な事は表には出ないので分らなかったのですが、やはり結構プレッシャーとかあるのだな〜と初めて思いました。ともかく心身ともに丈夫じゃないと出来ない仕事でもあります。それでもこの仕事を続けているのは、沢山の視聴者や映画、テレビファンから「いつも聴いて癒されます」「辛い時に聴くと元気が出ます」と言うメールや手紙を頂く事も少なくないからでしょう。自らの手を離れて一人歩きした音楽が沢山の人の心を一瞬でも癒す事が出来る・・・こんなに幸せな仕事が出来る事に本当に感謝しています。さて、私のリラックス方法は?と言うと・・・散歩!甘いものを食べる!料理!友達とおしゃべり!旅行!たわいもない事ですが、頭をからっぽに出来る時間が私のエネルギー補給の時間でもあります。その中でも世界中にいる音楽仲間に会いに海外旅行に行く!これが一番の気分転換です。電話もファックスも入らない毎日ですからね?それに、「書かなくていい!」こんなに気持ちが楽になれるのも海外にいるからこそです。「そんなに大変なのによく仕事しているね?」と言われる事もありますが、大変だからこそ出来上がった時の喜びもひとしおなのです。苦労と喜びの繰り返し・・・それが作曲家なのだと実感するこの頃です。


◎大島ミチル(おおしまみちる) Profile
(作曲家)
国立音楽大学作曲科卒業。在学中から作、編曲家としての活動を始め、映画音楽、CM音楽、TV番組音楽、アニメーション音楽、施設音楽など様々な分野で活躍。在学中に、交響曲「御誦」を発表、その後もNHKスペシャル「大英博物館」、「太平洋戦争」「生命~40億年はるかな旅」などの大規模な番組を手がけ、オーケストラやシンセサイザを巧みに操り、壮大でドラマチックなスケールのあるサウンドと美しいメロディは各界から注目を集めている。また映画「失楽園」で第21回日本アカデミー優秀音楽賞、毎日映画コンクール音楽賞、映画「長崎ぶらぶら節」で第24回日本アカデミー優秀音楽賞なども受賞。また、吉永小百合さんの原爆の朗読詩「第二楽章」「第二楽章 ~長崎から」の音楽も手がけ、各地での朗読会にも参加するなど幅広い活動をしている。
【主な作品】
●映画/「模倣犯」「ゴジラ対メカゴジラ」「失楽園」(東映)、他多数●番組音楽 /NHKスペシャル「大英博物館」「太平洋戦争」「生命-40億年の旅」、「あすか」 (NHK)「ショムニ」(フジテレビ)「ごくせん」(日本テレビ)、他多数 ●CM音楽/リポビタンD ドコモ関西他多数 ●イベント音楽/博覧会、国民体育大会式典、他多数 ●その他、アニメ、ゲーム施設音楽など多数


※掲載は所属当時

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