NO.52
富貴晴美
052_image.jpg

はじめまして、富貴晴美(ふうきはるみ)です。
 丁度、去年の3月、大学の卒業式でした。学生最後のどんちゃん騒ぎをしてお酒を沢山飲んだ帰り道、ベンチで寝ていた事を思い出します。

 「これから先どうすっかなー」って、不安と同時に夢を現実にする時が来たと、酔っぱらいの心の中で、わくわくしていた自分がいました。

 小学生の時から、毎日映画を3?4本観る人生をおくっていました。それも「風と共に去りぬ」や「チップス先生さようなら」、「ゴッドファーザー」、黒澤明監督作品等、今から考えたら渋すぎるマセガキでした。近所のおじさん達をつかまえては「スカーレットがもう少し早く気づいてくれたら、と私は常に思うの。でもその場合、前向きに生きるという力強いエンディングは迎えられないわねー」なんてうんちくを語ったり、ピアノを何時間も弾いたり、映画を観る毎日。

 でもそんな映画漬けの毎日をおくって、音楽を常に場面とあわせながら聴くことによって、私もいつか映画をひきたてられるような、時には涙をださせるような魔法のような音楽を作るんだって言う気持ちがうまれました。

 大学生になって、CM音楽、映画音楽の作曲のお仕事をはじめて、大学には単位を気にしながらも、卒業できるように頑張って通ってました(笑)授業中は友達にイタズラしたり、深い眠りに入るかのどちらか。終わりのチャイムが鳴るとぱっちり元気になり、スタジオに駆け込んだり、そそくさと自宅に帰って作曲作業をする事が、日課でした。授業で学ぶ事も多かったですが、一番勉強になったのが、大学の図書館。知識のほとんどは、図書館にこもって楽譜を見ながら音源を聴いたり、本を読みあさったりして得ました。

 そんなこんなで去年卒業してから1年がたち、沢山の素敵な人と出会って、沢山の事を知り、どんな事があっても最高のものを作り上げるという責任を感じるとともに、大きな感謝と人の暖かさを実感する事ができ、色々な人のおかげで夢を現実にかえてくれた素敵な年でした。

 曲を書く筆は早いと自覚しているのですが、最近は、締め切りの中でも最大限に時間を使って丁寧に、最後まで粘る曲作りを心がけています。

 結局、一番最初の状態が良かったとしても、やれるとこまで作り込んでから、元に戻します。無駄になったとしても、多くの事を知る事、多くの動作をすることは今の自分には必要だと感じるからです。知っていてやらないのと、知らないままやらないのでは全く意味が違います。

 作曲の仕事で一番大切な事。いや、どんな職業に就いたとしても、同じ事が言えると思うのですが、大切なのは、責任を持って最後までよいものを作る為に全力を尽くして、やり遂げるということだと。

 只今、23歳。30歳には世の中の人に富貴晴美という人がいる事、どんな曲を作る人間か知ってもらっていることが現実となるように、これからも頑張って精進していきます。


◎富貴晴美(ふうきはるみ) Profile
作曲家
1985年6月4日生まれ。
国立音楽大学作曲科を首席で卒業。
4歳からピアノ、12歳から作曲を始める。
在学中よりCM音楽、映画音楽の作曲やアーティストへの楽曲提供を始める。
現在は活動領域をドラマ音楽やイベント音楽などへと更に広げ、幅広い音楽分野で活躍している。

~主な作品~
ドラマ:「SCANDAL」「非婚同盟」
映画:「余命~君に届け いのちへの想い~」「山のあなた~徳市の恋~」「審理」
CM:サントリー「なっちゃん」、メナード化粧品、キリンビバレッジ「午後の紅茶」、花王「クイックルハンディ」「キッチンハイター」「ケープ」、小学館「小学一年生」、「おひさま」、ソニー、ユニチャーム、赤い羽共同募金、イオン企業広告、モランボン、バンダイ、他多数。
楽曲提供:小倉優子「スキ☆メロ」、堀江由衣『アニメ・ゼロの使い魔「スイーツはいかが?」』
その他:USJ「スヌーピーのトレジャーハント」ミュージカルショー、FMシアター「お顔」(NHKラジオドラマ)

富貴晴美オフィシャルブログ http://fuukiharumi.cocolog-nifty.com/
←|今月の作家トップページへ